輸出促進資本財(EPCG)スキームについて理解する

EPCG(輸出促進資本財)スキームは、高品質な製品やサービスの生産に必要な資本財の輸入を後押しし、インドの製造業の競争力強化を目的としています。このスキームでは、事前・製造中・事後のいずれの工程に使用する資本財の輸入についても、関税が免除されます。
また、EPCGスキームのもとで輸出用に輸入される資本財については、2020年3月31日まで、IGST(統一物品・サービス税)および補償金(Compensation Cess)も免除の対象となります。加えて、輸出業者はFTP(外国貿易政策)第5.07条に基づき、国内市場から資本財を調達することも可能です。
EPCGスキームにおける「資本財」とは、以下を含みます:
第9章で定義されている資本財
資本財の一部としてのコンピュータシステムおよびソフトウェア
スペアパーツ、金型、ダイス、治具、固定具、工具、耐火材
初回および1回の再使用分の触媒
このスキームは、支援製造業者の有無に関わらず製造業輸出者、支援製造業者と連携する商社輸出者、さらにはサービス提供事業者も対象となっています。

EPCGスキーム申請に必要な前提条件
EPCGスキームの申請には、まずIEC(輸出入者コード)が必須となります。その他の条件については、外国貿易政策(Foreign Trade Policy)第5章および「手続きに関するハンドブック(Handbook of Procedures)」をご参照ください。
EPCGライセンスの申請方法
■ EPCGオンライン申請手順
申請を始める前に、申請企業の**DGFT(対外貿易総局)用デジタル署名証明書(DSC)**を取得済みであることが必要です。
EPCGライセンスの申請は、すべてオンラインでDGFT公式サイトを通じて行います。紙ベースでの申請は受付けておりません。
【ステップ1】 DGFT公式サイトにアクセス
まず、下記の政府公式サイトにアクセスしてください。
https://www.dgft.gov.in/
トップページ上部の「SERVICES」メニューから「Online ECOM Application」を選択します。
【ステップ2】 DGFT用デジタル署名でログイン
続いて、画面左側のメニューから「EPCG (0%)」を選び、DGFT用のデジタル署名証明書を使ってログインしてください。
【ステップ3】 新規ファイルの作成
ログイン後、新しいウィンドウが開きます。ここでは、申請者のプロファイルと過去1年間に提出されたAdvance/EPCGライセンスの状況が確認できます。
新規申請の場合は「Create new(新規作成)」ボタンを選択します。これにより新しいEPCG申請フォームとファイル番号が自動的に生成されます。
【ステップ4】 必須項目の入力
「Create New」タブを選択すると、EPCGオンライン申請の入力画面が表示されます。
IEC番号、事業者名、登録住所などは自動で表示されます。
まず初めに「PORT(輸入港)」を選んでください。輸入機械が到着する港を選択します(例:Nhava Sheva、Mundra、Bombay Air Cargo、Chennai Sea Portなど)。
※注意:一度「登録港(port of registration)」を選択して申請を進めると、後から変更はできませんのでご注意ください。
次に、「Exporter Type(輸出者区分)」と「Product Group Code(製品グループコード)」をドロップダウンから選択します。
その後、輸入機械等のCIF価格(コスト・保険・運賃)を、インドルピー・外貨・米ドルで入力します。
すべて入力したら、画面下の「Update(更新)」タブをクリックしてください。
※入力後は「Update」ボタンで必ず保存してください。編集内容も定期的に更新することで、データの消失を防ぐことができます。

【ステップ5】産業登録、スター輸出業者、RCMC情報の入力
EPCGライセンスは製造業者の輸出者にのみ発行されるため、製造業の証明が必須です。申請画面の右中央(青枠部分)に、本ステップで必要なタブがまとめられています。
まず「Registration(登録)」タブをクリックしてください。以下のような画面が表示されます。
ドロップダウンメニューから登録種類(SSI、MSME、工業ライセンス、産業起業覚書(IEM)など)を選び、登録番号、発行日、発行機関、登録対象製品を入力します。入力後、「Add(追加)」を押し、「Update(更新)」してウィンドウを閉じてください。
次に、スター輸出業者の情報を入力します。DGFTから「Star Export House」の認定を受けている場合は「EH/TH」タブをクリックし、必要事項を記入してください。認定がない場合はスキップしてください。
続いてRCMC(輸出促進協議会登録証)の情報を入力します。EPCGスキームの特典を利用するには、いずれかの輸出促進協議会に登録されていることが必須です。「RCMC」タブをクリックし、RCMC番号、発行日、発行機関、有効期限、登録対象製品を入力します。入力後「Add」ボタンを押してください。修正があれば「Update」や「Delete」も利用可能です。
※RCMCはEPCGライセンス申請時に有効である必要があります。
すべての情報を入力し終えたら、「Update」ボタンで保存してください。
続いて、メイン画面下部のタブに移動します。
Restricted CG import(制限付き資本財の輸入)
輸入資本財が制限品目に該当する場合に入力します。Technical Upgradation(技術改良)
任意の入力項目です。Export Order(輸出注文)
こちらも任意です。Licenses(過去のライセンス)
これまでに取得したEPCGライセンスの詳細を入力し、各ライセンスに対する輸出義務(EO)の達成率も記入してください。
次に、より重要なセクションについて説明します。
【ステップ6】工場所在地の入力
メイン画面で「Factory Add(工場所在地)」を選択すると、以下のような画面が表示されます。
ファイル番号は自動で表示されるので、企業名、住所、郵便番号を入力し、登録種別をドロップダウンメニューから選択してください。「Add」ボタンを押して更新します。複数の工場がある場合は「Clear」ボタンでフォームをクリアし、次の住所を入力できます。
※工場所在地は製造ライセンスに記載されている住所と一致している必要があります。
【ステップ7】過去の輸出実績の入力
申請者の平均輸出義務(Average Export Obligation)を算出するために必要な情報です。過去3年間の輸出実績を記入してください。例えば、2020-21年度に申請する場合は、直近3年度分のデータが必要です。
輸出FOB価額(ルピー表示)
輸出品目
【ステップ8】輸出品目の詳細入力
「Export Product Details(輸出品目詳細)」タブを選択すると、以下のような入力画面が表示されます。
EPCGライセンスに基づく特定輸出義務は、輸入した機械で製造した製品の輸出によって果たします。義務額は、免税された関税額の6倍を6年以内に輸出することが求められます。
ここでは、輸入資本財・機械を用いて製造可能なすべての輸出品目を登録してください。必要に応じて「Clear」ボタンで新しい品目を追加できます。
※ここに登録された品目のみが特定輸出義務の計算対象となります。

【ステップ9】輸入予定の「資本財」情報の入力
EPCGオンライン申請手続きの中でも、ここが最も重要な入力画面です。このセクションでは、EPCGスキームを活用して輸入(または国内調達)を予定している資本財・機械の詳細を登録します。
輸入予定の資本財について、以下の情報を入力してください:
品目名
技術仕様(Technical Specification)
数量(Quantity)
正確な単位(UOM)を選択
節税額(Duty Saved Value)をインドルピーで入力
CIF価格を外貨ベースで入力
輸入元の国名
ドロップダウンからCGの種類(機械のタイプ)を選択
入力が完了したら、「Add(追加)」ボタンをクリックして更新してください。
※ここに記載する内容は、発注書(Purchase Order)と完全に一致している必要があります。不一致があると、関税免除での通関手続きに支障をきたす可能性があります。
なお、ここで記載した「Duty Saved Value(節税額)」は、自動的にメイン画面に反映されます。
【ステップ10】書類のオンラインアップロード
メイン画面の「Upload Documents(書類のアップロード)」タブをクリックすると、以下のような画面が表示されます。
インド政府のデジタル化施策により、書類のアップロードは義務化されています。ここでは、以下の署名済み書類をアップロードしてください:
CA証明書(附属書5B)
CE証明書/ネクサス証明書(附属書5A)
これらの証明書の内容については、別途詳細をご確認いただけます。
このステップまでで、EPCGライセンスのオンライン申請に必要な情報の入力と書類のアップロードがすべて完了しました。あとは、残りの2ステップを経て、正式に申請が提出されます。
【ステップ11】オンラインでの支払い
政府規定の申請料(Duty Saved Valueの0.1%)を、指定の支払方法で納付します。
※この手数料を支払わない場合、EPCGライセンスの申請は受理されませんのでご注意ください。
支払い情報を入力し、「Submit(送信)」ボタンをクリックすると、支払い確認画面に遷移します。ここで、入力内容および支払金額を確認後、「Proceed(進む)」をクリックすると決済画面へ移動しますので、手続きを完了してください。
【ステップ12】申請の提出
申請書を所轄のDGFTオフィスにオンラインで提出します。
以上で、EPCGライセンスのオンライン申請手続きはすべて完了です。提出後は、担当のDGFTオフィスへ連絡し、ファイルの進捗状況をご確認ください。
EPCGライセンスのオンライン申請手順について、ご理解いただけたかと思います。
【EPCGスキーム利用事業者が行うべきコンプライアンス事項】
EPCGスキームを利用する場合、以下のような継続的なコンプライアンス対応が求められます。未対応または遅延がある場合は、罰則の対象となることがありますのでご注意ください。
年次報告書の提出(海外からの資本財輸入実績をDGFTへ報告)
関税免除対象資本財の輸入から6ヶ月以内に、CE(公認技術者)による設置証明書の提出
輸出達成後のEODCレター発行/EPCGライセンスの償還処理(Redemption)
これらの手続きも、Gold Wright Consultants Private Limitedがしっかりとサポートいたしますので、安心してご相談ください。
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