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インドでの代表事務所開設

インドでの代表事務所開設 この記事では、インド国外に拠点を置く方が、本社の事業をインドでも展開したい場合や、一時的にインドでビジネスを開始したい場合に利用される、支店(Branch Office:BO)、連絡事務所(Liaison Office:LO)、プロジェクト事務所(Project Office:PO)の設立について解説します。多くの外国企業は、長期的なコミットメントなしにインド市場を探るために、この形態を利用しています。 インドは、外国投資家にとって事業展開に理想的な場所の一つです。理由として、無限のビジネスチャンスが存在すること、大規模な労働力が確保できること、そして司法の透明性が高いことが挙げられます。また、地理的な位置を活かし、グローバルなサプライチェーンにおいて重要な役割を果たすことも可能です。 BO/PO/LOの設立を検討する際には、外国企業の代表者はインド準備銀行(RBI)の外国為替管理局からの承認を受ける必要があります。この承認はADカテゴリー1の銀行を通じて申請され、その後、外国企業は会社登録局(ROC)への登録を行います。 インド準備銀行(RBI)による事前承認 インド国外に居住する者がインドで支店(BO)、連絡事務所(LO)、プロジェクト事務所(PO)を開設する場合、以下のケースではインド準備銀行(RBI)の事前承認が必要となります: 申請者がパキスタンの市民であるか、またはパキスタンで登録・設立されている場合 申請者がバングラデシュ、スリランカ、アフガニスタン、イラン、中国、香港、マカオの市民であるか、またはこれらの地域で登録・設立されており、かつジャンム・カシュミール、北東部地域、アンダマン・ニコバル諸島に支店や連絡事務所、プロジェクト事務所を開設しようとしている場合 申請者の主たる事業が、防衛、通信、民間警備、情報・放送の4分野に該当する場合。なお、防衛分野に関連したプロジェクト事務所(PO)開設の提案に関しては、該当する非居住者が防衛省、各軍司令部、または防衛公共企業体との契約を結んでいる場合に限り、政府の別途承認は不要で、RBIの別途承認も必要ありません。 申請者が非政府組織(NGO)、非営利団体、外国政府の機関・部署の場合。このような申請はADカテゴリーI銀行からRBIの中央事務局外国為替部門(住所:6, Sansad Marg, New Delhi – 110 001)総支配人宛に送付され、インド政府と協議の上で処理されます。 連絡事務所(LO)、支店(BO)、プロジェクト事務所(PO)の規制LO、BO、POはインドにおける外国企業の法人格を持たない事業所であり、会社法および外国為替管理法(FEMA)により規制されています。 会社法(2013年)による規制 会社法1956年の規定:会社法1956年の第591条から602条までは、インドに事業所を持つ外国会社に関する規定が定められていました。これに対応する規定として、会社法2013年では第22章が新設され、追加の条項や要件が盛り込まれ、2014年の「外国会社登録規則」と併せて適用されています。 会社法2013年に基づく登録:外国会社(連絡事務所(LO)、支店(BO)、プロジェクト事務所(PO)を通じて)は、インドに事業所を設立した日から30日以内に、会社登録局にForm FC-1を提出し、2014年の「登録事務所および手数料規則」で定められた手数料を支払い、また会社法380条1項の規定に従い登録に必要な書類を添付しなければなりません。

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規制当局の視点から見る外国寄付

規制当局の視点から見る外国寄付 外国からの政治的干渉を防ぐために、緊急事態下の1976年に制定された「外国寄付規制法(FCRA)」は、インド当局にとって有効な監視ツールとして機能してきました。この法律は、主権国家としての民主的価値観を揺るがすような外国からの寄付を規制することを目的として設けられたものです。 その後、2010年には経済危機の影響を受け、さらに2020年には世界的なパンデミックと、それに伴う寄付の大幅な増加を受けて改正されました。これらの改正は、外国からの寄付を適切に管理し、インドの政治的主権や国際的なアイデンティティを脅かす恐れのある資金を排除することを目的としたものです。 国家が自国の利益を守るためには、外部からの干渉的な動きを未然に防ぐことが非常に重要です。政治的意図を持つ外国からの資金提供は、国家の利益や主権を大きく揺るがす恐れがあります。現代の国際社会における戦略は、武力よりもむしろ、影響力の行使・圧力・威圧・内政干渉といった形で展開されることが増えています。 実際、スリランカやパキスタンで最近発生した政情不安は、外国からの資金が経済や政治を混乱させるリスクを示す好例と言えるでしょう。インド政府は、これら周辺国の危機を受けて、対外政策を定期的に見直し、柔軟かつ戦略的に対応してきました。 その中でも特筆すべき制度の一つが、「外国寄付規制法(FCRA)」です。この法律は、インドに流入する外国からの助成金を長年にわたって監視・規制してきた重要な仕組みです。 FCRAは、特定の個人・団体・企業による外国からの寄付金や接待の受け入れ・利用について規定しており、国家の利益に反する活動にそれらが使用されることを禁止しています。また、本法はインド国内のみならず、国外にいるインド国民、さらにインド国内で設立・登録された企業の海外支社や子会社にも適用されます。 インドでは、COVID-19パンデミックの時期を中心に、国外からの寄付金が急増しました。これを受けて、規制当局の間では、政治的な意図を含む資金流入への懸念が強まりました。現在も、海外から資金を受け取っている団体に対して、各種調査や査察が実施されています。 最近では、FCRA(外国寄付規制法)に基づくライセンスが、違反の疑いにより取り消されるケースが相次いでいます。FCRAや所得税法、関連法令に違反しているとされる団体に対して、当局が厳しい対応を取っているのが現状です。 例えば、ニューデリーを拠点とするあるNGOに対しては、FCRA第13条に基づきライセンスの停止通知が出されました。これは会計帳簿に関する監査の結果によるもので、同団体が外国寄付金の利用報告義務を怠っていたことや、外国資金と国内資金を混同して扱っていたことが指摘されました。これらは現行FCRAの規定に明確に反する行為です。 さらに別の事例では、複数のNGOに対する調査を通じて、FCRA第12条で禁止されている活動の推進に外国資金が使われていたという重大な違反が発覚しました。こうした動きを受け、FCRAの厳格な運用と透明性の確保が、今後ますます求められる状況となっています。 2022年5月、インド中央捜査局(CBI)によって約40件もの強制捜査が実施され、いわゆる“ハワラ取引”が明るみに出ました。調査の結果、外国からの資金受領時にFCRA(外国寄付規制法)のルールやガイドラインを軽視していたことが発覚し、政府関係者を含む20名以上が拘束されました。その中には、一部のNGOの代表者や仲介役とみられる人物も含まれていました。 こうしたFCRA違反は、単に法律上の問題にとどまらず、政治的な意図を含む資金の流入や、脱税といった国の根幹に関わるリスクを内包しています。いずれも、国家の利益や価値観を揺るがしかねない深刻な問題と捉えられています。 そのため、近年のインドでは、外国資金の動きが規制当局の重点監視対象となっており、政治的にも大きな関心を集めている分野となっています。 結論 インドの各機関が外国寄付規制法(FCRA)の規定を正しく理解し、外国からの寄付を受け入れる前に適切に対応しておくことは非常に重要です。加えて、その寄付金の使途や他者への支払いについても、事前にしっかりと分析・計画を立てる必要があります。 FCRAに登録された団体が社会貢献活動などを行う際には、法令遵守を徹底するとともに、関連する書類の整備・保管を日常的に行うことが求められます。また、寄付金の流入に際しては、その背景や目的についても十分に精査し、FCRAの枠組みに照らし合わせたうえで受領判断を行うことが重要です。 ご不明点がございましたら、お気軽に communications@goldwright.co までご連絡ください。 関連記事 マネーマーケットファンドのメリットを活用して勝利のポートフォリオを築くMay 26, 2025 会社設立May

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海外からの寄付を受け取る際の注意点!

海外からの寄付を受け取る際の注意点! グローバル化が進む現代、世界の片隅で起きた出来事が他方に波紋を広げています。こうしたグローバル化の影響で、慈善資金の国際的な移動も活発化しています。過去4年間で、インドの非政府組織(NGO)は約5兆ルピーの外国寄付を受け取っています。高度なITインフラの活用により、インドの規制当局はこれらの受領状況をより正確に把握できるようになっており、企業にとっては1976年制定の外国寄付規制法(旧FCRA)を理解し、遵守することがますます重要になっています。 FCRAの背景 旧FCRAは、1976年8月5日に、政治的に狙われた外国からの寄付を規制し国益を守ることを目的として施行されました。当時の非常事態宣言下で、「外国寄付や外国からの接待の受け入れと利用を規制する」ことが趣旨とされていました。その後、1984年に改正され、外国寄付の受領者の範囲が拡大されるとともに、外国寄付を受け取る団体の登録制度が設けられました。さらに、1976年の旧FCRAは廃止され、2011年5月1日より新たに「外国寄付規制法(FCRA)2010」が施行されました。 2020年にはFCRAの各条項を改正する「外国寄付規制改正法(Amendment Act)」が成立し、外国寄付の受け入れ、利用、譲渡、処分、報告における透明性と責任を強化、規制当局の監督権限を大幅に強化することを目指しました。 2022年4月8日、インド最高裁はこの改正法の合憲性を認める判決を下し、改正内容の範囲についても明確化しました。このような背景を踏まえ、本記事ではFCRAおよび改正法に関する未解決の疑問点のうち主要な三点に焦点を当て、最近の最高裁判決の分析も併せて紹介します。 FCRAの枠組み FCRAは、インド国内にいる個人や団体が外国からの寄付金や接待を受け取る際の受領、譲渡、処分および報告を規制しています。第3条から第6条までは、政治団体や政府職員などによる外国寄付の受領に関する規定が定められています。 改正前の第7条では、外国寄付を受け取った者がFCRAに基づく登録をしていない第三者に寄付を譲渡することを禁止していましたが、改正後は受領者がいかなる相手にも外国寄付の譲渡を一切禁止する内容に強化されました。インド最高裁もこの改正の正当性を認めており、資金の誤用を防ぎ、受領者の責任を明確にすることを目的としていると述べています。 第8条では、外国寄付を受けた者は、その寄付金を受け取った目的に沿って使用しなければならないと規定しており、これにより外国寄付の不正使用を防ぎ、目的に沿った適切な利用を確保しています。 改正法が施行前に受領した外国寄付に適用されるか? 改正により、第7条は外国寄付の第一次受領者から他の者への譲渡を完全に禁止する規定となりました。この規制は、その後の資金利用において実務上の課題を生じさせています。 まず、この改正が遡及的に適用されるかどうか、すなわち改正法施行前に受領した寄付にも適用されるのかが問題となります。最高裁判所は繰り返し、法律の改正は特に明記されない限り、原則として将来に向けて効力を持つ(遡及適用されない)と判断しています。また、最高裁は実体法規は原則として将来効力を持つと示しています。 これらの判例と基本原則を踏まえると、第7条の実質的な改正を含みながら遡及適用を明示していない改正法は、遡及的ではなく将来効力を持つと解釈されるのが妥当です。したがって、改正法による譲渡禁止規定は、施行前に受領した外国寄付には適用されないと考えられます。 第三者(資金受領者以外)の負債返済に外国寄付金を利用できるか? 第7条の改正は、外国寄付金の不正利用を防ぐという誠実な意図のもとに行われたものですが、実務上、意図しない課題を生む可能性があります。 多くの場合、外国寄付金の受領者はその資金を本来の目的に使用できるものの、共同の目標達成のために他組織と連携するケースもあります。例えば、草の根団体は直接外国寄付金を得る実績がないため、既存の登録団体と協力して共通の目的を達成することがあります。この場合、既存の登録団体が仲介役として外国寄付金を受け取り、連携先の団体が負担した費用を支払うことは可能かという疑問が生じます。 なお、第7条の改正は、インド憲法第14条および第19条に違反するとして異議が申し立てられました。申立人は上記のような実務上の困難を指摘し、改正の無効を求めました。改正は合憲と判断されたものの、最高裁は改正の適用範囲について明確な説明を行いました。裁判所は「譲渡(transfer)」と「利用(utilisation)」の違いを区別し、外国寄付金が本来の目的のために使用されている限り、第7条の厳格な適用対象とはならないと述べています。 これらを踏まえると、FCRAの登録団体が外国寄付金を受け取り、連携先の団体が負担した費用の支払いに充てる場合、その行為は第7条に定める「譲渡」ではなく、第8条に定める「利用」とみなされると主張できます。 外国寄付金を受領する前、または団体登録前に発生した費用の支払いに外国寄付金を利用できるか? FCRA第8条では、外国寄付金は受領目的に沿って利用されるべきと規定されています。理想的には、以下の順序で事柄が進行すると考えられます。(1)法に基づく登録、(2)外国寄付金の受領、(3)特定目的のための費用発生、(4)外国寄付金の利用。しかしながら、費用が外国寄付金の受領や登録前に発生する場合もあります。 FCRAは、外国寄付金の受領後にのみ費用が発生しなければならないとは定めていません。重要なのは、外国寄付金が承認された目的のために適切に使われることです。費用の発生時期と寄付金の受領時期の前後関係が異なっても、実質的な問題とはならないと考えられます。この見解は、前述の最高裁判決の趣旨にも沿っています。 また、FCRAでは、外国寄付金の受領および利用に関する詳細を開示する定期報告の提出など、十分な監査・報告体制も整えられています。 結論

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Secretarial Audit & Company Secretary In Practice

秘書監査と会社秘書業務

秘書監査と会社秘書業務 秘書監査(シークレットリアル・オーディット)は、2013年会社法第204条および2014年「経営幹部の任命および報酬に関する規則」に基づき、インド企業省(MCA)によって導入された制度です。 この監査は、独立した実務家である会社秘書(Company Secretary)が、企業に適用されるさまざまな法律や規制、ルール、手続きの遵守状況、帳簿・記録の整備状況などを客観的に確認・検証するプロセスです。 秘書監査の目的は、企業が必要な法令遵守をタイムリーに実施できているかをチェックし、うっかり見落としがちな不備や違反の未然防止につなげることにあります。企業が安定したガバナンス体制を維持し、コンプライアンスリスクを最小限に抑えるうえで、非常に有効な手段と言えるでしょう。 実務に従事する会社秘書(Company Secretary)は、上場・非上場を問わず、企業に関連する各種法令や手続き、実務運用に精通した専門家です。インド会社秘書協会(ICSI)のカリキュラムで培われた高度な知識を活かし、秘書監査を適切に実施するスキルを備えています。 会社法2013年 第204条第1項によると、秘書監査は、インド会社秘書協会(ICSI)の正会員で「実務証明書(Certificate of Practice:PCS)」を保有している者が実施し、監査報告書は所定の様式「MR-3」で提出することが義務付けられています。 ■ 適用対象企業(会社法 第204条に基づく) 秘書監査が義務付けられるのは、以下のような企業です: 上場企業(すべて) 資本額や売上高等、一定基準を超える非上場の公開会社 特定の条件を満たす私企業(Private Company)※政府が指定する場合 秘書監査報告書は、2014年制定の「経営幹部の任命および報酬に関する規則」第9条第2項に基づき、所定の「MR-3フォーム」で作成・提出する必要があります。 Gold Wright Consultants Private Limitedでは、各種企業の監査ニーズに対応した専門的なサポートを提供しており、法令遵守と内部統制の強化をしっかりとバックアップいたします。

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